アンリ・マティス「ダンス」

裸の人間が輪になって踊りまわる様子を描いた、アンリ・マティスの「ダンス」は、優雅で豪奢な装飾が目立つエルミタージュにおいて、同館の雰囲気とは対照的な存在感を放っている。 赤、青、緑のわずか3色が平面的に塗られているだけだが、極めて鮮烈な構図、色彩、筆致で描かれ、むしろ躍動感がより強調されるほどだ。生涯をかけて“単純で平面化された図柄”を追い求めたマティスによる作品の中でも、世界で3指に入る傑作中の傑作と言えるだろう。

人生に対する畏怖の念が表現された傑作

人類の最も根源的である裸体で、原始から行われている人類共通の表現方法であるダンスを踊る姿には、まるでマティスがとらえた「人生」が表現されているかのようだ。また、この絵にまつわる興味深いエピソードにも注目したい。

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