ミケランジェロ・ブオナローティ「最後の審判」

キリストが再臨して人類を裁く終末思想を描いているのが、ミケランジェロの「最後の審判」だ。この絵画は、反宗教改革の切り札として、ローマ教皇クレメンス7世がミケランジェロに制作を依頼した。画面は大きく3つの階層に分かれ、上段から、天使たちの群像、キリストがいる天国、地獄に落ちていく人々が描かれている。この絵画における地獄の有り様を描くにあたって、新旧の聖書のほか、ダンテの叙事詩「神曲」の地獄篇から着想を得たとも言われている。

取り壊しの議論もあった、スキャンダラスな名作

作品に登場する人物はすべて裸体。これは、神の前では皆平等であるという思想であり、教会側にとっては不都合だった。また、宗教空間に裸体のオンパレードは卑猥である、という議論も起こった。取り壊しの議論もあったが、別の画家が腰布を加筆したことで危機を逃れることとなった。

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